ディミトリス・パパイオアヌーの「INK」
2022年の「Transverse Orientation」に続きディミトリス・パパイオアヌーの舞台「INK」を観に京都ロームシアターまで足を運んだ。
素晴らしい舞台だった。
初っ端から舞台上にとめどなく噴き出す水に驚く。
床も背後も真っ黒なシンプルな舞台なので、水に反射する光が際立つ。
黒の上下の着衣の男(パパイオアヌーさん)と
白い肌の全裸の男二人の織りなす世界。
崇高で神話的。
残酷性もありながら狂おしい愛の物語にもとれる。
全裸の濡れた肌に蛸がペタリとひっつき、
キモく美しくえも言われぬエロチシズムを感じつつ、
何かわからんけどやっぱり愛おしい。
題名が「INK」だからタコの墨は闇の象徴なのかと思ったり。
光と闇と溢れ出す水が宇宙に誘う感もあり。
二人の身体から生まれる物語に時に共感し、
奇想天外で予測不能なことが起こり驚愕し、
光の美しさに感嘆し、
着衣の男がガラスのボール内でタコをぐるぐる回して水が弾け飛んだ時は、
もはや私の脳内もグルグルまわされて笑いが止まらなくなる始末。
「Transverse Orientation」の時も同じようなことを感じたが、
ホモサピエンスというものは複雑で意味不明で謎だらけなのに、
どうしてこんなに愛おしいのだろう!