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バッグが紡ぐ物語

バッグが紡ぐ物語

ブランドを立ち上げた初期の頃から、バッグに名前をつけることは私にとって特別な楽しみでした。抽象的なイメージからインスピレーションを得ることもあれば、神話や星座にちなんだ名前を選ぶことも。また、ときには憧れの人物の名前を冠したバッグもあります。シャルロット・ゲンズブール、シルヴィ・ギエム、ユマ・サーマン――それぞれの名前に思いを重ねてデザインしてきました。

 

バッグ作りを始めたのは、手芸の延長線上にある独学の試行錯誤から。その後、職人さんに教わりながら、見よう見まねで技術を磨きました。私のバッグは、問題解決に特化したプロダクトデザインとは異なり、緩やかな視覚的なイメージを出発点に、デザインに背景や物語を織り込むことを大切にしています。

 

24年間、誰かを思い描いてバッグを作り続けてきました。

 

最近、振り返る中で気づいたのは、自分が手掛けたバッグが思いがけない形で人と人との縁を生み出していたことです。その象徴とも言えるのが、友人Aちゃん&Uちゃんの存在。

 

Aちゃんとの出会いはayayの販売会場。「私、綾さんのバッグ持ってます!」という彼女の言葉がきっかけで、私たちは長い間親しい友人関係を築いてきました。一方でUちゃんとは、同郷であることや共通の知人がいたことから、縁が深い存在でした。

 

興味深いのは、AちゃんとUちゃんが出会ったきっかけもayayバッグだったことです。数十年前、Uちゃんが持っていたバッグを見て、Aちゃんが「これ、綾さんのバッグじゃない?」と声をかけたことから二人の交流が始まりました。今では、二人は価値観を共有し、互いに尊敬し合う関係を築いています。

 

先日、そんな二人と一緒に食事をしました。話をしている中で気づいたのは、バッグを通じて価値観や好きなものが似た人たちが引き寄せられるという事実です。バッグはただの物ではなく、そのデザインが生む物語や背景が、人と人をつなぐきっかけになる。

 

バッグは持ち主とともに外の世界へ出かけ、多くの人に出会うアイテムです。その過程で、新しい人物像や新たな物語が紡がれていきます。いってみれば情報がぎゅっと詰まったバッグがインターフェースとなって地球上に浮遊しているのかと思うとロマンでしかありません。(大袈裟!笑) バッグを作るという行為は、単に物を作るだけではなく、社会の中で人々の生き様を織り込みながら形を変えていくデザインのプロセスなのかもしれません。

 

「バッグには人と人をつなげる力がある」Aちゃんのその言葉は刺激的でした。時がたった今、駆け出しの頃の「憧れの人物像の緩やかなイメージ」を今はもう少し確信に迫ってデザインしたいと思います。

 

Aちゃん&Uちゃん、そして私のバッグを手に取ってくださったすべての方々に、心から感謝を伝えたいと思います。これからも、バッグを通じた新たなつながりが紡がれますように!