高井戸芸術祭2024 ②
高井戸芸術祭2024の会場「コーヒービーンズ高井戸」にて、
逢坂綾作品を展示しております。
最新作のSKINシリーズより3点ご覧いただけます。
改めましてですが、私、逢坂綾はレザーアーティストであると同時に
バッグデザイナーとして活動しております。
バッグ製作の際に生じる革を捨てるのが勿体無いと常々思っていました。
そして十数年前くらいから革の切れ端を使い作品を作るようになりました。
初期の作品についてはアーティストの公式ホームページを是非是非ご覧ください。
こちら→Aya Ohsaka
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今回の作品は皮膚がテーマとなっています。
身体感覚は創作において私のスタート地点。
謎だらけの皮膚は掘り下げるほど無限に広がる神秘の世界です!
Statement
皮膚という境界線は、人と自然、自己と他者、内と外を分かつと同時に、それらを結びつける存在です。皮膚は新陳代謝を繰り返し、その表面には膨大な数の常在菌が共存しています。これは、我々が絶え間ない変化の中に生きており、自分自身が固定された存在ではなく、他者や環境との関係の中で形成される流動的な存在であることを示唆しています。
人間は、しばしば自分を自然から切り離された独立した存在と考えがちですが、実際には私たちの存在は自然と不可分であり、その境界は曖昧です。この曖昧な境界は、私たちが「自己とは何か」、「人間とは何者か」という問いに向き合う時、避けては通れないテーマとなります。
私は、動物の革という皮膚に近い素材を用いて、この境界の曖昧さと人間の本質を探求しています。革は、かつて生きていた動物の痕跡を残しながらも、その生命は終わり、新たな形に生まれ変わります。この変化の中に、自己のアイデンティティや存在の意味を問い直す契機があると感じています。
長年レザーバッグのデザイナーとして培った経験を基に、私は革を通して、人間と自然、自己と他者のあわいにおこる現象や感覚を捉え、そしてそれが私たちの存在にどのような影響を与えるかを表現しています。私の作品は、観る者に「人間とは何か」という問いを投げかけ、自己と世界との関係を再考するきっかけを提供したいと願っています。
逢坂 綾
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TITLE: SKIN A, SKIN B (2023 )
作品説明
皮膚感覚とは、どのようなものなのでしょうか。皮膚は外界からの刺激を鋭敏に受け取る感覚器官である一方、記憶や感覚を抱え込む器でもあります。心や精神、さらには脳と深く結びついた皮膚は、内面的な変化を時に身体に現れる形で映し出します。この作品では、情報のインターフェースとしての皮膚の豊かな躍動を表現しました。
Technical Description
傷や擦れ、色落ちなどにより製品化できなくなった革、製造過程で生じる切れ端を利用した革の作品です。羊革、牛革、豚革、ビーズ、刺繍糸、麻糸を使用しています。
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TITLE: SKINPOIESIS (2023 )
作品説明
この作品は、伝統的な製法でなめされた鹿の革の全体の姿を通じて、人々の潜在意識に訴えかける形を捉えています。自らの皮膚と死んだ動物の革との関係性からインスピレーションを得て、通常は意識されない皮膚感覚と深層心理に触れる要素を革の上に表現しました。日本の古来の視点である自然との調和を強調し、観る者に自然界との深い結びつきを思い起こさせ、潜在意識に訴えかける装飾を施しました。
Technical Description
水と塩と菜種油といった天然素材のみを利用した、古代から伝わる日本独自の鞣し製法の姫路白なめしの鹿革をまるごと使用した。過去の作品に使用した革の廃材を型紙通りにカットし、traditional hand stitch techniqueで麻糸で縫い上げて「先端にグラスビーズのついた突起物の形をした小さいピース」を約1600個、丸い形のピースを約80個製作った。それらを土台の革に即興的に手で縫い込み、複雑にからみあう麻糸とビーズで流れと表情を作り出した。
Volume of exhibition (W, L, H, in cm.): 98 x 120 x 5
Weight (in gr.): 2500