謹賀新年2026

新年あけましておめでとうございます。
毎年、年末年始は夫と共に函館・ニセコで過ごしています。
函館は冬になると魚介が豊富に揃い、街じゅうに魚介グルメの誘惑があふれます。
私は内陸育ちで、もともと魚が得意ではない子どもでした。
ところが、40歳を過ぎて冬の魚介の本当の美味しさを知ってしまい、
今ではすっかり魚介党に。ついでに日本酒まで大好きになってしまいました。
そんな私を一気に魚介好きへと目覚めさせた「BIG2」を、
新年のご挨拶に代えてご紹介させてください。
ニシン
初めて衝撃を受けたのは、小樽の青塚食堂での炭火焼きの特大ニシン。
皮がじゅうじゅうと音を立て、割ると湯気が立ちのぼり、
プーンと独特の脂が香ります。一口いただいて、驚愕しました。
「こんな旨味のある魚が存在したなんて…!」
脂に香ばしさと深みがあり、旨味が押し寄せてくるのです。
私が敬愛する小泉武夫先生の著書
『北海道を味わう』(中公新書)には、この魅力がこう表現されています。
「焼きたてで、まだニシンの皮の焦げ目からプチュプチュなどと小さな焼き音が鳴いているぐらいのものに、醤油を数滴落とし、そのあたりに箸を差し込んでむしり取り、熱いやつを口に運ぶ。トロリとした脂肪の丸味と、身からのうま味。そこに皮の焦げた香ばしい匂いと、ニシン特有の野生の体臭が鼻孔から抜けてくる。それらの香味は、またもや私の大脳皮質の味覚野を襲うのである。」
...これを読んでうなずく方は、きっと一度は“襲われた”人です。
大根おろしと醤油を添えれば日本酒と相性抜群。
ビールにも合うし、ポルトガルのイワシの塩焼きのように
ヴィーニョ・ヴェルデのような軽いスパークリングワインともよく合います。
ニシン漬け

キャベツと大根、身欠き鰊を麹で発酵させたお漬物。
11月頃に仕込み、年末には各家庭やお店で振る舞われます。
具材の切り方、生姜の量、漬け加減。
レシピに個性が出るので、食べ比べるのが楽しい一品。
辛口の日本酒に合わせると、危険なほどするすると進みます。
「辛口の日本酒が好きだからニシン漬けが好きなのか、
ニシン漬けが好きだから辛口が好きになったのか」
...どうでもよくなるほど幸せな組み合わせです。
昆布
味覚以上に物語に心をつかまれた食材です。
皆さん、
日本全国で使われる昆布のほとんどが、
実は北海道からやってきたものだとご存知ですか?
江戸時代、北前船により北海道の昆布が各地へ運ばれ、
北陸から京都・大阪へ、
九州から沖縄へと伝わり、全国に根付いていきました。
やがて昆布は、日本が世界に誇る「UMAMI」の主役に。
沖縄でいただいたクーブイリチー(昆布と豚肉の炒め物)を食べた時、
「なんて遠い旅をしてきた旨味なんだろう」と、胸が熱くなりました。
豚の脂と昆布は相性良すぎですよね。沖縄おでんも最高に好きです。
それ以来、我が家の食卓にはほぼ毎日昆布がいます。
自分の味覚が、いつのまにか別人のように変わっていたことに気づきました。
ただ最近は温暖化の影響で不作の知らせもあり、心から案じています。
結びに
ニシンと昆布に出会って、
人生で「知らなかった美味しさ」って、まだまだあるのだと知りました。
大人になってからの味覚の成長は、
こんなにも人生を豊かにしてくれるのだと、しみじみ感じています。
この一年もまた、新しいおいしいもの、
そして美しいもの、かけがえのない経験、
新しい出会いと感動が、皆さまに訪れますように。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
心より
逢坂綾