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「Transverse Orientation」 を観て

昨日木曜日、ギリシャのアーチスト、ディミィトリス・パパイオアヌーの「Transversal Orientasion」をさいたま芸術劇場に観に行ってきました。

https://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/93564/

 現代アートやコンテンポラリーダンス鑑賞が好きな私なのですが、本作品は特に素晴らしかったので皆様にご紹介したいと思います。

 さて、どんな舞台だったかと申しますと

 演劇でも舞踊でもないんです。パフォーマー8名の意味深で奇妙奇天烈な行為が舞台上で繰り広げられます。舞台奥にはドアが一つ、クラシックの曲が時折静かに流れてきます。シンプルな照明が特徴的で大道具、小道具、人間の作り出す直線と曲線、またはその影がとても象徴的に描き出されてた気がします。

 Q ストーリーあるんですか?

 A ないんです。

 「『Transverse Orientation』とは、昆虫が月や光と一定の角度を保つことで進路を調整するメカニズムです。」題名についてパパイオアヌーさんはインタビューで語っておられますが、舞台では始終、人間のあるメカニズムに基づく奇妙な行為が次から次へと繰り広げられます。舞台の奥の壁には壊れかけの蛍光灯が一つ(↓)。それに惑わされる昆虫のように、不思議なフォルムの人間が集まってきて舞台は始まります。

 等身大の雄牛の人形が出てきて本物と見まごうほどの動きをしたり、奇妙な造形物が登場したり、予測不可能なことが起こります。最後に現れたマリア像のような女性のお腹からゲル状の乳がボトボトとこぼれ落ちたかと思うと、生まれたての赤ちゃん(人形)が現れたのには驚かされました。乳臭さくて生温かくて柔らかい母なる女性のイメージ、マリア像がそこにはありました。

パパイオアヌーさんは水は女性のイメージだと語っているようですが、作品には水が何度も登場します。

 私が作品全般から受けたメッセージは「肉体への賛美」でした。

何せ「全裸」が多いんです〜。最初の5分は「およよ〜」と思って若干不自然な目の動きをしてしまった感はありますが、すぐに慣れました(笑)。ザ・ギリシャ彫刻の肉体美を静かに見ているだけで、深く心を抉られるものです。舞台装置と照明と演出の効果で身体の質感、曲線美は大胆かつ繊細に迫って来る。太古から変わらぬ人体の美しさほど雄弁に神話を語るものなどないと思うくらい。本物と見まごうほどの等身大の雄牛の人形が作品の中で大きな役割を果たしているのですが、そのフォルムが男性性を強調し、女性の美しさをより一層引き立てていたのも印象的です。

 ヴィーナスのような女性の流線形はもちろんのこと、おっぱいが5センチくらい垂れ下がったぷっくり体型の女性がハイヒールで歩く姿には見惚れるばかりでした。人間は本当に美しいです!!!それに尽きる。

 ギリシャというとギリシャ神話ですが、本作品もまた「人間とはなんぞや!」という難問を、おもしろく、奇妙に過激にそして美しい空間芸術した壮大な神話でありました。

公演を終えて私は、その神話の中の丸裸の愚かで、面白くて、意地らしくて、おバカで、奇妙で滑稽、でも脆くて美しくて、尊くて愛おしい人間をただ讃美するばかりでした。

 こちらが作者のパパイオアヌーさんの情報です。

https://bijutsutecho.com/magazine/news/exhibition/25681

 こちらのインタビュー。パパイオアヌーさんの魅力が伝わってきます。

https://rohmtheatrekyoto.jp/archives/thegreattamer_lp_dimitris/